がん保険、「なんとなく」入っていませんか?
「がんになったら怖い」「2人に1人がなると聞いた」——そんなイメージで、なんとなくがん保険に加入している方は多いのではないでしょうか。
FP3級で学んだ知識を使うと、がん保険が自分に必要かどうかを、根拠を持って判断できるようになります。
この記事では、FP3級の学習内容をベースに、がん保険を検討するときの考え方を整理します。
ポイント① :B分野だけで考えない
がん保険はFP3級のB分野(リスクマネジメント・民間保険)で学びますが、実際の判断はB分野だけでは完結しません。
保険を考えるときには、次の順番で整理することが基本です。

①公的保障でどこまでカバーされるか
がんになっても、すべての費用を自己負担するわけではありません。A分野で学んだ公的制度が使えます。
- 高額療養費制度:月々の医療費自己負担に上限が設けられる制度。70歳未満で標準報酬月額28万〜50万円(年収約370万〜770万円相当)の方は、月額自己負担限度額が「85,800円+(総医療費ー286,000円)×1%」となります。さらに長期療養に伴う負担軽減策として、年間上限額(前年8月〜当年7月の12か月間合計で53万円)が新設されます。その他、加入している健康保険によっては、付加給付という高額療養費に上乗せされる任意の給付制度がある場合があります。
- 傷病手当金:会社員が病気・ケガで仕事を休んだとき、給与の約3分の2が1年6ヶ月支給される。(2022年1月から通算化され、復職後に再び休んでも、合計で1年6か月まで受け取れるようになりました。ただし、退職日当日に勤務した場合、退職後に一度でも就労した場合など、通算の対象にならない場合がありますので留意してください。)
- 障害年金:症状が重い場合、がんでも対象になるケースがある。
「がんになったら数百万円かかる」というイメージが先行しがちですが、公的制度でカバーできる部分は意外と大きいです。
②勤務先の制度を確認する
会社員の方は、職場の制度も確認しましょう。
- 団体保険(会社が契約する生命保険・医療保険)
- 福利厚生制度(傷病見舞金など)
- 所得補償制度
民間保険より有利な条件のケースもあります。まず総務・人事に確認するだけで、見えてくるものがあります。
③そのうえで民間保険を検討する
①②を確認した上で、それでも不足する部分があるときに、はじめて民間のがん保険を検討します。

ポイント② :リスクマネジメントの4象限で考える
FP3級のB分野では、リスクへの対応として4つの手法を学びます。

保険は「移転」にあたります。そして、保険(移転)が最も効果的なのは——
というリスクです。
では、がんはどうでしょうか?
日本人が生涯でがんを経験する確率は、男性61.1%・女性50.1%(国立がん研究センター・2023年データ)。男女とも「2人に1人」と言われる水準です。
「発生頻度が低い」とは言えません。
教科書的に考えると、2人に1人の確率で起きるリスクは「保険(移転)」よりも——
- 回避:健康的な生活習慣で予防する
- 軽減:定期的ながん検診で早期発見する
- 保有:貯蓄で備えておく
こういった対策が基本になる、という考え方になります。
ただし、年齢によって変わります
「じゃあがん保険は不要?」ということではありません。
年齢が若ければ若いほど、がんの発生確率は下がります。若い方のがん罹患率は、50代・60代と比べてかなり低い。そのため若いうちは「発生確率は低いが、起きたら大きな損失」——つまり保険で備えるという判断は合理的です。
年齢が上がるにつれて、公的保険の活用や貯蓄での対応にシフトしていくという考え方が一つの見方です。
まとめ:がん保険加入の4ステップ
最終的な判断は、次の4ステップで考えるとスムーズです。
STEP 1 公的保障を確認 → 高額療養費・傷病手当金・障害年金など
STEP 2 勤務先の制度を確認 → 総務・人事担当者に確認するだけでOK
STEP 3 貯蓄額を確認 → 緊急予備資金(生活費3〜6ヶ月分)はあるか
STEP 4 不足分を把握し、民間保険で補うか検討
→「○○万円が不足するから加入する」という根拠を持つ
「なんとなく不安だから加入する」ではなく、
「○○万円が不足するから補う」という根拠のある判断ができるようになること——
それがFP3級の知識を活かすということです。
おわりに
FP3級は試験合格で終わりではありません。学んだ知識は、こうして実際の生活の場面で使えます。
がん保険に限らず、「保険の見直し」「老後の資金計画」「住宅ローン」——あらゆる場面でFP3級の知識が判断の土台になります。
このシリーズでは「FP3級で学んだ知識の活かし方」をテーマに解説しています。ぜひ他の記事も合わせてご覧ください。


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